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妄想コクテール。

妄想コクテール。

大好きな酒屋に立ち寄った。
棚に居並ぶボトルたちを見て回ると、半笑いになりつつ、つい時間を忘れてしまう。
スコットランドが誇るシングルモルト、『マッカラン』その名には常に後光がさしている。
ロックで呑むもよし、チェイサーをお願いして、ストレートでいただく。。これもまたよしである。
マッカランはこのお店のスターだ。
今風にいうとセンター。(この言い回しはどうも馴染めない、、。)
口に含んだところをイメージしてみる、、
ぅーぅーあーぃぅ、、じわ〜っと芳醇でうっとりとして上品な自然が醸し出すピートの薫り、、、ゆっくりと喉の奥やら鼻を抜けて行くやら、ん〜まだまだ、どこまでも広がっていきまっせ、、、
でっせ〜。でっしゃろ。でんがな〜。こんちきしょー。
私はたまらず、もうひとくち、エアー呑みでいただこぉ〜っと、そのとき、



『そのままで、、いいのかよ?』



店内の何処か遠くから、日活任侠風のやさぐれた声が、、。


我が国の戦後復興、高度成長、バブル、リーマンショック、時代をくぐり抜け生きぬいた、
65年の歴史を誇る庶民の見方ホッピーが、
全てを投げ捨ててマッカランのもとへ、、。
国も価格帯もすべて乗り越える究極の愛の為に。



『おーホッピー、、貴方はどうしてホッピ〜なの?』


『ぅ〜ん、マッカ、、、ゥママママ、。。マッカ、ラ〜〜〜ン!!』



ホッピーのピーの響きが何をも砕く軽さなのだが、、このカクテルは産まれたのである。

その名は、『 成り上がり。』

両者を一直線上に繋ぐことができるカクテルの創作者に敬意を表してつけられた名である。
奇跡の出会いをプロデュースできる人物のプロファイリング、、、
2つの世界をまたいでいく推進力と実行力。
それから、どうしてそれを、マッカラン?という最大級の謎も含めて、、。

グラスの中で一つに結ばれた悲しい愛の薫りは、彼らがそれぞれにつちかってきた音色をまとい、
絡まりあいながら、今、静かに天空へと駆け登ってゆく。。。

デ〜デデ・デ〜〜ン。

(ドリフ落ちリフで幕。)

妄想コクテール


                     ©森



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