V.V.F 12 『 虫の一分 』
V.V.F 12 『 虫の一分 』
アゲハの幼虫が大部分を食べた、すだちの葉は徐々に復活の兆し。
自然界の法則だろうか、虫は植物の命をとるまで食べ尽すことはなく、
少し葉を残し再生の余地を作っている。
このアゲハの幼虫だけでなくて、バジルを狙った小さなショウリョウバッタも
同じ行動をとっていた。
どこか礼節のようなものを感じる。
彼らは生きる術を心得ている。
『 生きるために食し、残す。』
人間のように経済活動が入ってきてはとても不格好になる。
先進国の現代人が破棄する食べ物は途方も無い量だ。
売るに値しない不格好なものは生産者が流通前に破棄。
お店では売れ残りや破損したものを破棄。
食卓では食べ残しを破棄。。
冷蔵庫からは料理に使われず消費期限切れしたものを破棄。
無駄のオンパレードの反対側では今日の食べ物に困っている人がいる。
日本では破棄した食料を家畜の餌に回すことが進んでいるが、
ヨーロッパでは動物愛護、伝染病などのことで食のリサイクルが停滞していると聞く。
すだち(奥から2番目)とアイビー(1番手前)
再生するすだち。 アイビーのなかに、、、。
前回ブログでベランダにいたアゲハの幼虫を掲載したところ、
Facebookに書き込みがあった。
『この大きさだと近くの壁などでさなぎになっているかも?』
姿を消した幼虫はてっきり鳥に食べられたと思い込んでいたから、
興奮してすぐに壁や周辺を探しまわった。
残念ながら見つけることはできなかった。
そして1週間が過ぎた、、
ベランダの壁の向こう側にアイビーの葉が伸び出して、強い太陽の日差しにやられ、所々焼けていた。
鉢をくるりとまわし、焼けた部分を剪定しようとしたときだった。。
いた。
よくやった。
見事に羽化していた。
こんな小さな場所で。
2つ隣のすだちの鉢で沢山葉を食べて、
羽化の準備にこのアイビーに移動していた。
日中の暑さなど考えるとどうやったのか?
コンクリートや鉄の柵などはかなりの熱を持つ。
夜になり、
さなぎになる予兆を感じつつ、体はうずくが冷静にゆっくりと前進していく一匹の芋虫。
うっすらと月明かりがお腹のあたりにさしている。
そんな光景を想像してみた。
いつも思うのだが、
虫は誰に教わっている訳でもないことをよくできる。
脱け殻に虫の一分を見た。
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