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青春18切符

青春18切符

岡山駅から姫路に向かう各駅停車に揺られながら、うたた寝に入った。
青春18切符で旅をしたことを思い出していた。

電車の音と匂いは、あの時と変わっていないようだった。

2浪目も美大入試、失敗。
惨敗の兵、田舎に報告する迄の逃避行。
新宿駅、たしか深夜0時1分発の各駅停車に乗り込み九州へ。

上京するとき父から譲ってもらった、ペンタックスに、
35ミリのモノクロフィルムを詰めて旅の友にした。

一人旅では荷物が心配で寝れなかったことや
だんだんと列車の中の方言がかわっていったこと、
24時間かけて辿り着いた先が岡山駅だったこと、
ホテルに向かうときに怪しげな男に声をかけられドキドキしたこと、

あの時撮影した白黒写真は、自作のアルバムにしつらえたことを思い出した。
コクヨの茶紙のスクラップブック。
1ページごとにトレーシングペーパーを挟みこみ
上部に糊付け、厳かにめくって見えるようにした。

あれは今、何処にあるのだろう?
実家にあるのか、自身で持っているのかも定かでない。

後ろの2人掛けシートで母親に対して何やら抗議の声をあげている幼い息子も、
いつか、今のこの時を思い出すことがあるんだろうな。と思いつつウトウトと。



web170818_岡山駅




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